ジベンゾ7員環化合物の励起状態ダイナミクスに関する理論的研究
早大理工
○馬場健,中田彩子,高橋博彰,中井浩巳
Abstract
5-ジベンゾアゼピンや5-ジベンゾスベレン誘導体は,基底状態において折れ曲がった構造であり,反転異性体を持つことが知られている。そのスペクトルは化合物により大きく異なるため,励起状態における電子構造および幾何構造の違いが実験的に指摘されてきた。本研究では非経験的分子軌道法を用いて,基底・励起状態を高精度に検討することで,過渡分子種の構造緩和,異性体変換や誘導体による違いといった様々なジベンゾ7員環化合物の励起状態ダイナミクスを検討する。
The structures of 5-dibenzoazepine and 5-dibenzosuberene derivatives are "butterfly-like" structures or inversion isomers in the ground state. The structures in the excited state are suggested to be planar experimentally. In the present study, structures and dynamics of these compounds in the excited and ionic states were investigated by the ab initio MO method.