FeO+によるメタン-メタノール転化反応のスピン選択則に関する理論的研究
九大有基研
○塩田淑仁,吉澤一成
Abstract
FeO+とメタンは気相中で反応し、中間体を経て、生成物であるFe+とメタノールを生じる。この反応は6重項状態と4重項状態がエネルギー的に接近しており、この二つの状態を比較すると安定構造(反応物、中間体、生成物)では六重項状態が、遷移状態では四重項状態が安定となる。つまり、反応物から遷移状態に向かう途中で二つのポテンシャルエネルギー面が交差している。そのため活性化エネルギーが6重項ミ4重項遷移により低下し、反応が有利に進行する。そこで本研究では、極限的反応座標(IRC)に沿って6重項ミ4重項間のポテンシャルエネルギー差をもとめ、ポテンシャルエネルギー面の幾何学的構造を明らかにするとともに、二つのポテンシャルエネルギー面の交差点を求めた。さらに、相対論的補正のひとつであるスピン-軌道相互作用を従来の計算方法に加えて反応の解析を行い、スピンが反転する可能性を考察した。
We report the spin-orbit coupling effects of the crossing seam in the FeO+/CH4 system for the gas-phase methane-methanol conversion. The spin-orbit coupling induced mixing between the ground sextet state and the quartet electronic excited state. SOC constants were calculated along the reaction pathway of the oxidation process, CH4 + FeO+ → CH3OH + Fe+.