2族金属の水和クラスターの脱水素反応に関する理論的研究
産総研四国センター
○渡邉秀和
Abstract
2族金属と水のクラスターM+(H2O)n(M=Mg,Ca)は、サイズnが上昇すると、中性の水素原子が脱離した構造MOH+(H2O)n-1がしだいに安定になる。Abinitio分子軌道法を用いて、この水素解離反応の経路を調べた。M+(H2O)nは、不対電子が金属原子Mのs軌道にあり、この電子配置を保った解離反応の軌道は結合性である。また、MOH+(H2O)n-1+Hは不対電子が解離する水素原子にあり、反結合性である。水素解離生成物のエネルギーがnとともに安定化するので、ふたつの軌道の交差する点のエネルギーが下がってきて、解離反応が起きやすくなると考えられる。
With an ab initio molecular orbital method, neutral hydrogen elimination reaction paths of the M+(H2O)n(M=Mg,Ca) were investigated. Bonding and antibonding orbitals are crossing, and the energy at the crossing point is lower along with the size. Hence, the dissociation of the neutral hydrogen becomes easy to take place.