ビフェニルの二次元ペニングイオン化電子分光:He*との相互作用におけるベンゼンとの相違
東北大理・東北大院理
○萩原雄祐,岸本直樹,大野公一
Abstract
ビフェニルのペニングイオン化反応において、部分イオン化断面積の衝突エネルギー依存性(CEDPICS)から、He*との相互作用の異方性に関する情報を得ることができる。ベンゼンでは、π軌道からのイオン化に対応するCEDPICSに差が見られなかったのに対し、ビフェニルでは、ねじれて隣接するフェニル基による相互の立体障害のために、π軌道の拡がりに応じてCEDPICSの傾きに違いが見られた。また、σ軌道に対応するCEDPICSにおいても、隣接するフェニル基近傍での相互作用のために、軌道の拡がり方に応じて違いが観測された。
In Penning ionization of biphenyl, collision energy dependence of partial ionization cross sections indicates anisotropy of interaction between He* and biphenyl. Similar CEDPICS was observed for ionization from π orbitals of benzene, while different CEDPICS was observed for π orbitals of biphenyl depending on the distribution of π orbitals because of the steric hindrance by the neighboring twisted phenyl group.