溶質溶媒間相互作用に関する理論的研究:スペクトル表示によるアプローチ
総研大・分子研
○山崎健,佐藤啓文,平田文男
Abstract
溶液中の電子状態理論における一つの大きな問題は、溶質溶媒間の相互作用の記述である。これまでの理論の中で用いられているのは、溶質の電子状態に直接影響を与えるのは、溶媒からの静電相互作用のみであるというモデルである。最近の我々の研究から、溶液中の核遮蔽定数を理解するためには、このモデルでは不十分であるということが理解された。そこで本研究では、スペクトル表示の方法に基づくより正確な分子間相互作用のモデルを用いて、核遮蔽定数の計算を行い、このモデルの妥当性について検討する。
Nuclear magnetic shieldings in solution are very sensitive to intermolecular interaction. Therefore, this quantity can be a good criterion for the description of solute-solvent interaction used in the electronic structure theory in solution. In this study, the nuclear magnetic shieldings are calculated using the model in which the solute-solvent interaction is represented by the spectral representation technique, and the validity of this model is discussed.