ESI法によるポルフィリン錯体イオンの光誘起反応
神戸大理・神戸大自然
○野々瀬真司,田仲博昭,岡井信裕,富宅喜代一
Abstract
液相中における溶媒和の光誘起反応の過程を詳細に理解するためには、液相にある反応分子を孤立状態で観測する必要がある。エレクトロスプレーイオン化法(ESI)を用いることによって、液相中にある不揮発性化学種を非破壊的に真空中へ導入することが可能である。本研究ではエレクトロスプレーイオン化法を用いた2重質量分析装置を製作し、サイズ選別されたポルフィリン錯体イオンおよびヘムタンパク質多電荷イオンの光誘起反応について検討した。その結果、電子励起状態における錯体イオンの解離反応と緩和過程の機構に関する詳細な知見を得た。
By means of electrospray ionization, nonvolatile chemical substances can be introduced into vacuum without destruction. In the present work, an apparatus of tandem mass spectrometer with electrospray ionization is constructed. The photo-induced reactions of Porphyrin complex ions and multiply-protonated heme protein ions are investigated. The mechanisms of dissociation reactions and relaxation processes are discussed.