ペニングイオン化電子スペクトルに反映される表面分子の配向・配列―表面最上層から滲み出た局所電子密度による解析―
東京農工大工
○栖原正典,尾崎弘行
Abstract
固相分子のペニングイオン化電子分光(PIES)では、バンドの強度分布から定性的に表面分子の配向が論じられてきた。本研究では、希ガスのメタステーブル原子が表面最上層に接触可能な領域を詳しく見積もり、この領域における局所滲出電子密度に基づいてスペクトルを合成することにより、同一有機物の分子配向・配列が異なる薄膜のPIESの特徴的強度分布を再現できた。これまで困難であったPIESによる隣接分子の相対位置関係の解析を目指してその可能性を探る。
Based on the exterior electron density model, Penning ionization electron spectra were reproduced for the films of an organic compound but with different molecular orientation and arrangement. Each constituent band was superposed in the calculated spectra with intensity proportional to the local electron density of the MO oozing from the surface portion accessible to metastable atoms.