分子内に鎖状アンモニウム配位子を持つFe、RuおよびOs錯体におけるヒドリド配位子のCO2およびCS2への水素移行反応に関する理論的研究
基礎化研
○松原世明,平尾一之
Abstract
分子内に鎖状アンモニウム配位子を持つFe、RuおよびOs錯体におけるヒドリド配位子のCO2およびCS2への水素移行反応の反応機構についてab initio MO法により解析を行った。これまで、Ru錯体におけるヒドリド配位子のCO2への水素移行反応において、考え得る二つの反応経路、(i)CO2によるヒドリド水素引き抜き、および(ii)CO2のRu-H結合への挿入、について比較検討を行い、前者の反応エネルギー障壁はRu錯体の分子内鎖状アンモニウム配位子の電子的効果によって著しく低下し、前者の方が有利であることを報告した。今回は、中心金属、溶媒の効果、また、CS2について検討を行い、反応機構がそれらに依存することを見い出した。
We theoretically examined the hydrido migration to CO2 and CS2 of the Fe, Ru and Os complexes with the protonated amine arm by the hybrid density functional method (B3LYP) and found that the reaction mechanism depends on the metal, substrate and the solvent.