92850113.086

気体電子線回折による1,1-dichloropropanone oximeの分子構造


上智大理工・北大院理

○久世信彦,綾基成,向井純太郎,宇佐美豪士,酒泉武志,大橋修,武島嗣英,江川徹,小中重弘



Abstract


1,1-dichloropropanone oxime (Cl2CHC(CH3)=NOH)の気相での分子構造については,これまでStark変調型分光器を用いて測定したマイクロ波スペクトルの解析により,(E)型に1つの配座異性体が存在することがわかっている。一方ab initio計算からは(E)型および(Z)型でそれぞれ2つの配座異性体が安定であった。本研究では気相での表題分子の精密な分子構造と立体配座を気体電子線回折法を用いて決定した。データ解析の結果,Cs対称で二面角NCCCl=120゜である(E)型配座が実験値を最も満足していることがわかった。この結果はマイクロ波およびIR分光法の結果と一致している。

The molecular structure of 1,1-dichloropropanone oxime was determined by gas-phase electron diffraction (GED). Refinement of the GED data shows that the (E)-isomer with Cs symmetry is the dominant conformer. The dihedral angles of NCCCl are about 120゜ and -120゜. The present result is consistent with the microwave and infrared spectroscopic investigations.