要旨
ノルボルナジエンとその誘導体に対してフェムト秒過渡吸収測定を行った。いずれも可視より長波長領域でははっきりした吸収は測定できなかったが、ブリーチリカバリーには顕著な差が観測された。前者は約16psの時定数で完全回復したが、後者は最初20ps程度で減衰する過渡吸収が重なっている一方で2nsまでの測定でブリーチ自体は全く回復しなかった。クワドリシクランへの光異性化の量子収率が両者で1桁以上異なっていることを考慮すると、異性化は3重項状態に項間交差した後起きていると考えられる。

ABSTRACT
Wemeasuredtransientabsorptionsofnorbornadieneandthecalboxylatederivatives Whilebothcompoundsdidn'tshowclearabsorptionsatlongerwavelengthsthanvisibleregion,thebleachrecoveriesweremuchdifferent Theformerrecoveredperfectlywithin16psandthelatterdidnotrecoveratallwithin2ns Thiscanexplainthedifferenceofquantumyieldofphotoisomerizationtoquadricyclane.